Monday, June 11, 2007

ユーザーイリュージョン

人間にとって意識は大した働きをしていないという内容の本、第二弾。
600ページぐらいと神々の沈黙と同じくとても分厚い。
神々の沈黙が過去から現在の話だとするとこちらは現在から未来への話

こちらは主に情報方面からのアプローチ
先ず最初にマクスウェルの悪魔について詳細な説明
なぜマクスウェルの悪魔(後述)は存在し得ないのかという熱力学と情報を関連づける話
難しく一回読んだだけではたぶん非専門家は理解しきれないし、
意識の問題といったい何の関係があるのか疑問だが、
頑張って読み進めるべし
自分としてはマクスウェルの悪魔がなぜ存在し得ないのか
曖昧になっていたため、とても参考になった
情報についても、情報は入手するときでなく処分するときに
エントロピーを増大させるということはとても参考になる
この話は今後のメインテーマになってくるのでしっかり理解しておくべし

次章からは脳の話に入り、脳が膨大な情報を外界から得ていることと
その中で意識に登るものはごくわずかだと言うことが説明される
そして随意行動が決定してから0.5秒後に決定したことが意識に登るという実験結果へ

後半の一章にジュリアンジェインズの二分心の話が出てくる
神々の沈黙は分厚すぎて読む気にならないというのならこちらを読んで見るのもいいかも
結構うまくまとまっている。

マクスウェルの悪魔とは
真ん中に穴の空いたしきりのある部屋を用意
穴のところに悪魔を配置
 ーーーーーーーーーーー
|     |     | 
|     悪魔    | 
|     |     | 
 ーーーーーーーーーーー
この悪魔はフィルターの役割をし、
速度の速い分子を右から左にのみ通し、
速度の遅い分子を左から右にのみ通す。
そうすると
 ーーーーーーーーーーー
| 早い  |  遅い | 
| 分子  悪魔 分子 | 
|     |     | 
 ーーーーーーーーーーー
速度の違う分子をわけることができる。
温度とは分子の移動速度のことだから
こうすると左の温度が高くなり、右の温度が低くなる。
この仕組みならエネルギーを使わずに温度の差を作ることが出来、
永久稼働機関ができてしまう。
そりゃおかしいというお話。