Saturday, April 07, 2007

神々の沈黙

今年初の”ヒット”

むちゃくちゃおもしろかった。
こういう本に出会う度に読書を続けていてよかったと思う。

紀元前7世紀以前の人は意識を持たなかったという常識を覆す大胆な仮説を
古代の文章、脳科学の両面から説く。

自我を持つことを当然として生きている現代人には理解できない感覚であるが、
古代人は意識を持たなかった。
じゃあどのように決断していたかというと、
「神の声を聞いていた。」
神の声とはいったい何かというと
言語野は左脳の後ろ側のウェルニッケ野に存在する。
現代人では働いてないが、古代人は左右対称の右脳の位置が言語野として働いていた。
ここで神の声を聞いていたのだ。
現代では統合失調症の人がこれに近い状態にある。

心が存在しなかったという根拠は?
正確に辿れる最古の文章の「イーリアス」には心を表す単語が全く存在しない。
その代わりに、神が命令したので何々をしたという記述がたくさんある。

その後、いかにして「神」が話さなくなり、
どのように人々が苦悩し、「神」を求めたのかという歴史まで語られる。

今まで蓄積してきた脳と宗教の知識が、この本を中心に急激に結晶化していく感じである。
それだけではない、私が好きな作品もおおよそ、この本のテーマ「二分心」で解決できる。
オメガトライブも、寄生獣も、ワイズマンも、ひぐらしのなく頃にも、
そして私のあの体験も

運命の本に出会えた。次は逆にこの本を核に、今までの思索をまとめる旅に出ようと思う。

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