Saturday, December 24, 2005

絶望に効く薬 山田玲司著

死に至る病は絶望であるとはキルケゴールの言葉であるが、日本では自殺する人間が一日に86人もいるらしいから絶望とは重度の精神症の一種なのかも知れない。
ただ、絶望して自殺しようという人間は、死ぬことを救いと思っているからまだ甘いともいえる。
真の絶望とは死ぬことでさえも救えないものである。
これはべつの漫画のテーマとなるため、その時に書くことにしよう。

作者は山田玲司。掲載雑誌はヤングサンデー。現在4巻まででています。
ジャンルは対談漫画(こんなジャンルあるんかな)。
作者が幸せそうに生きている各業界の有名人と出会い、絶望に効くクスリを探そうというスタンスで書かれています。
会ってる人がこれまたすごい。
忌野清志郎、荒俣宏といった超有名人からカリスマホスト、グリーンピース元事務局長までどういう基準で選んでるの?てぐらい広い。
しかもうまいんだなこれが。
インタビューにありがちなインタビューされる人の魅力にインタビュアーは乗っかってただ聞いているだけみたいなものじゃなくて、
せりふ一つ聞いたら誰のインタビューなのかわかるぐらい
その人の内面というか特徴を引き出せている。
ただ、全共闘とかグリーンピース万歳なところはちょっと頂けないかな?
この本を知ったのがちょうど自分が将来に絶望しかける時だったからホント助かりましたわ。ずっと研究者になりたくて生きてきたのに研究を始めてみると、
叱られてばっかで自分は研究者に向いてないんじゃないかと真剣に悩んでいました。
大学入って以来一番悩んでいました。
それでも今はまだ研究をしようと思っていられるのはこの漫画の心強い言葉達と友達のおかげです。
この作者の「Bバージン」は高校の時のバイブルでしたし、この人にはホントにお世話になりっぱなしです。いつか逆にインタビューされるくらいの科学者になってやる!

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バカの壁 養老孟司著

久々の更新です。院試が終わって書きたくてたまっていたものを吐き出すぜい。
珍しく有名どころの本です。
人気な本や有名な本はなんか苦手だったり、つっこみどころ満載でとうてい読むに耐えないというのがだいたいの感想です。
結構期待していたのにこの本もご多分に漏れずに突っ込みどころ満載です。
ただ、養老孟司さんの本を読むのは初めてに近いので、これが本人が本当に主張したいことなのかがわからないので、天に唾すになるかも知れませんが、批判覚悟で叩き切りたいと思います。
養老孟子さん、有名な学者なんですからあなたはホントはもっとすごい人だと言うことを信じています。

まず第一に絶対に納得できないところ。
p26「つまり、真に科学的であるというのは「理屈として説明できるから」それが絶対的な事実であると考えるのではなく、そこに反証されうる曖昧さが残っていることを認める姿勢です。
進化論を例にとれば「自然選択説」の危ういところも、反証できないところです。
「生き残ったものが適者だ」といっても、反証のしようがない。「選択されなかった種」はすでに存在していないのですから。」とあります。

確かに現実での進化論は反証不可能です。
たとえば、この生物がこうやって進化してきたということを推定することはできても、本当にそうやってその生物が進化してきたということは誰にもわかりません。その意味では進化は反証不能です。

しかし、ダーウィンの進化論が優れている点は、”演繹的に”進化を起こすことができるからです。
たとえばメンデルの遺伝法則のような生物の法則と矛盾することなくモデルを作り、コンピューターでシュミレーションすると確かに、しかも他のモデルよりも高速に進化を起こすことができます。
できの悪い理論は進化を起こすことができませんし、また、できたとしても非常に遅かったり、現実とは似てもにつかない結果になったりします。
著者は、進化論は反証不可能と言われていますが、モデルを作るってシュミレーションをするという手段により、進化論は反証が可能です。

鋭い読者は進化論と現実に起きている進化が違っている可能性に気づいていると思います。
しかし、現実で何が起こっているかを理論が確かに説明しているということは証明できません。
しかし、そこには科学の限界があります。それを言うなら宇宙の起源について語る物理学も、地球の成り立ちについて語る地学もすべて理論通りに成立したかどうかは証明するすべはありません。
過去にはもう戻れないのですから。何も反証不可能なのは進化論だけではないのです。

また最初に考えていたものとずいぶん違うものができあがってしまったので、いったん区切って次回は細かい部分のつっこみといきましょう。

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ヒトはなぜヒトを食べたか 生態人類学から見た文化の起源 マーヴィン・ハリス 鈴木洋一訳

頭のいい人が書いた文章というのは独特の雰囲気がある。感覚的で申し訳ないのだけれど、スパーンと頭の中に入ってくるのだ。やられたっていう感じなのである。あはは、よくわからないね。わからない人は浅羽通明などを読んでみるといいと思う。この人の本は素晴らしい。(特にこの人の書いた「なぜ大学へ行くのか?」は本を読む高校生から大学生にかけては必読だと思いますぜ)
この本もそうです。単純明快で理論的、それでいて面白くてわかりやすい。そして常識を打ち砕いてくれる。こういう本に出会えるから読書はやめられないんすよ。戦争、農耕の起源、食人、イスラム教はなぜ豚を食べないのかなどの疑問を栄養的な観点から説明します。超要約しますと、氷河期に気候変動と人が食い尽くしたことにより大型の動物が絶滅した。そのためアジアヨーロッパではしかたなく農耕が始まったが、いくつかの部族では人工の抑制のために女児殺しや戦争が始まった。まともな家畜のいなかった中米では栄養不足のため人を食うことになった。アステカの心臓を神に捧げる儀式は人を食べるためのものであった。イスラム教が豚を食べないのは豚のえさが砂漠では人と競合することになるので割に合わないから不浄のものとして食べなくなった。ヒンドゥー教で牛が神聖なものとされるのは労働力として貴重だから食わない方が利益になるからである。
たぶん俺の拙い要約では???な部分が多いと思いますので、是非実物を読んで頂きたい。つーかこの程度の要約だけでみんなに納得して頂けるなら何も本を書く必要はないのです。評論は納得してもらえなさそうなことを理解してもらうためせつせつと書いているものなのです。豊富な事例一つ一つもおもしろいしやはり一度読んでみることをお勧めします。

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「結局誰も救えなかった」 EDEN 〜It's an Endless World〜

漫画紹介第一弾
作者は遠藤浩輝。掲載雑誌はアフタヌーン。現在最新刊は12巻です。
今一番続きが読みたい漫画。ジャンルとしては近未来SF。
しかし、素人にはお勧めしない。でもあえて俺はこれをお勧めしちゃう。埋もれさせるにはあまりにもったいない。
大体どの小説や映画も漫画も、ハッピーエンドで終わる。悪者をやっつけたり、愛し合う二人が結婚したり。また普通、主人公が修行をして、強敵を倒せました。ぐらいの成功が随所にちりばめられている。そのせいで、どの漫画を読んでいても、何となく結果がわかってしまう。その結果、漫画に緊張感が失われた。
この漫画はそれが全くない。主人公の計画は今までことごとく失敗。ただ自分の手を悪に染めただけで誰も救うことなくもがき苦しんでいる。
そのため、SFにも関わらず圧倒的な現実感を持つ。僕にとっては人生は成功よりも失敗の連続だ。そのため、成功者を描いた作品よりも、失敗をして悩む主人公を描くこの作品に共感を覚えるのだ。

主人公エリヤはプロパテールと呼ばれる組織に狙われる少年。アンデスを自力で越えなければならないがある朝起きると見知らぬ連中(ノマドという傭兵部隊)に羽交い締めにされている。命を助けられる代わりにこの連中を車に乗せることに同意。
で、敵の砦を一つ突破したら、相手の軍隊がやってきてなんとかこれを撃退。無事に父の仲間に迎えに来てもらって助かる。
ここでノマドの人物の回想録を挟んでプロパテールに人質にされている母親と妹の救出作戦。失敗してボコられて倒れているところを娼婦ヘレナに拾われる。
ヘレナがとある騒動に巻き込まれて片目と片耳をつぶされ復讐を決意。決行するが関係者を殺しまくっただけで救いたかった人間は救えずこれまた失敗。
ヘレナと恋愛関係になるもあっという間にふられ、ヘレナが男と高飛びしようとしているところで殺され、また復讐。っと思ったら殺した奴が思わぬ大物と繋がっていてまたもプロパテールと戦うことに…

デロデロしているだけでちーとも面白そうじゃないし、ストーリーが複雑すぎて要約するのも大変でした。要約する意味がないというのはこういうことです。まぁ現物をじっくり読んでくれということです。
絵も綺麗で機械の書き込みもうまいし戦闘シーンのスピード感はピカイチです。コマ割りも映画的という評価を受けています。そんなことよりも重要なのは内容で、世界の不条理さは嫌という程かかれてますし、等身大の少年がいかに成長、というより大人になって汚れていくかを見るのはぞくぞくします。その上、ウイルスとか量子コンピュータとかサイボーグ化とか俺好みの話題がちりばめられててもう萌え萌えです。
漫画史的な観点から分析しますと、この漫画はエヴァンゲリオンなしには語れません。プロローグの疫病から生き残ったのは少年少女一人づつというところはエヴァのエンディングを暗示させるし、この少年にロボットを使って父親を殺させるとかどう見てもエヴァへのアンチテーゼです。(知らない人に補足するとエヴァの主人公はファザコンです)最近のストーリーのテーマになっているディスクロージャーウイルスを使って人類をすべて結晶化させようという設定もエヴァの人類補完計画を彷彿とさせます。エヴァの結末は僕には不満が残るものだったため、この作者には是非ともそれを超えるものを書いて頂きたいと思う。

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RNA新大陸

生物学は日々変わっていきます。科学の結果は常に正しいとは限りません。歴史的に見ると結構間違っています。ぶっちゃけちゃいますと、ニュートンの力学は間違ってるし、(我々の目に見える世界でだけ近似的に成り立ちます。)原子核の周りを電子が惑星のように飛び回っているという原子モデルも間違っています。両方とも高校までに教わるものですが、残念ながら現代の物理から見ると不正確です。ただ、勘違いして欲しくないのは、だからオカルトが正しいというわけじゃなくオカルトはこれ以上に激しく間違っています。理論は予測をたてて予測どおりになってなんぼですけれど、オカルトの予測的中率はとても低いものです。正確なモデルは量子力学という複雑怪奇な理論を学ばないとわからないものなので、日常生活の上では高校で学ぶもので近似的にほぼ確かに様々な現象を説明できるのでこれらを学ぶのです。これらは数式という強力なツールを使って進む物理でさえこの有様です。生物も生態学は数式を使いますけど所詮近似式ですし、遺伝子を扱えるようになってかなり正確な実験をすることができるようになりましたが、まか不思議な生物などというものを相手にする生物学はまぁしょっちゅう間違えます。こないだも老化の原因といわれてきた活性酸素が老化とは関係がないことが証明されました。
そんなこんなで言うことがころころ変わる生物学ですが、9月2日にまたとんでもないことがわかりました。DNA上にある遺伝子ががRNAという物質に転写されタンパク質に翻訳されて効果を現す。つまり、DNAを見ればどんなタンパク質を作るか、たとえばアルコールを分解するタンパク質をつくるとかいった機能がわかる。というのが生物学のセントラルドグマという中心的な考え方で、この考え方を中心に過去50年間分子生物学という分野は進んできました。DNAさえわかればタンパク質がわかるからDNAを読み取れば生物がわかるというDNA中心の考え方です。それが書き換わるかも知れないというとんでもない発見がされました。はっきり言ってノーベル賞もんの大発見だと思います。DNAにはジャンクDNAと呼ばれるタンパク質を作らない領域が95%もあってこれは何にも役になっていないだろう。といわれていましたが、RNAというDNAの情報をタンパク質製造器(リボソーム)に受け渡す物質を見てみると、ジャンク思われていた領域から転写されてきたものだと言うことがわかりました。これによってジャンク領域だらけと思われていたDNAの70%に何らかの機能があるかもしれないということです。RNAは今までの生物学ではただ情報を渡すためだけのものだと思われてきたのですが、5年程前からRNAiという手法が話題になり、一気にメジャーになってきたところに今回の発見です。これからしばらくは分子生物学はRNAマンセーな時代になるでしょう。ゲノムプロジェクトが一段落ついて膨大な量の機能のわからないタンパク質が見つかった上に、また今度は機能が全然わからないRNAの「新大陸」まで発見されてしまいました。生物の謎が完全に解き明かさされる日が来るのはまだまだ先のようです。

「だれが「音楽」を殺すのか?」 著、津田大介

正直、この本に書いてある内容はちょっと古くなってしまった。2004年9月出版というつい最近の本なのにCCCD(コピーコントロールCD。パソコンでコピーできなくなくしたCD)と音楽配信を巡る状況は一年の間に大きく変わってしまった。ソニーはCCCD105作品を通常CDで再出荷するという完全になめたことをやってくれて完全敗北。(ただ、携帯音楽プレイヤーのことを考えてくれていると好意的に受け止めることも可)iTunes Music Storeは200円の曲と150円の曲がある上、個人的には品揃えに疑問符は飛ぶけれど4日で100万曲ダウンロードとなかなかの出だし。全く時代が移り変わるのは早いものです。一年たっただけでもう状況が完全に違ってきています。あとがきに”10年後くらいにこの本を読んだ人が「あのころの音楽業界はこんなくだらないことで悩んでいたんだね」と笑いながら感想を言えることを願って”といわれることは1年後に実現しかけていることからまだまだこの業界もすてたもんじゃないなと思ったりもする。
CDを買ったり借りたりしてMDに落とし、ポータブルプレイヤーで聞いている程度の普通の音楽ファンにとってはCCCD問題はどこ吹く風だっただろうけれど、レンタルしてコピーしたCD-Rで音楽を音楽を聴いてきた人間にとってはCCCDの発売は今まで問題なかった行為が突然いけないことにされて、自分たちは音楽業界の敵にされ、自分たちの権利は制限され、しかもここまでしておきながらCCCDがCDプレイヤーでかからなくなっても保証無し、返品も受け付けませんという音楽業界の態度にはさすがに腹が立った。(ちなみに、レンタルのCDを自分が聞くだけのためにCD-Rにコピーするだけなら合法。)この筆者もほぼ同じ感想を受け取っていたので、自分の怒りが私憤でないことに少し安心。ちなみにうちのマックはCCCDをあっさり読み取ってくれます。結局我が家にとってもCCCDはどこ吹く風でした。
この本の中でも曽我部恵一氏のインタビューはかっちょよかったです。CCCDは自由じゃねぇからイヤ。リスナーとのコミュニケーションが重要で金のことはあとで考えよう。ってスタンスに惚れました。聞いたことがない人だけど興味を持ったから今度レンタルしてみようかな?

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動物行動の遺伝学という研究会に行って参りました。

21日に動物行動の遺伝学という研究会が三島の遺伝学研究所で開かれました。せっかくなのでちょっと感想を。
まず、久しぶりに新幹線に乗りました。自分がけちなのと貧乏旅行が好きなので、たいてい18切符で旅行しているのですが、今回は時間がないのと研究室からお金が出たので、新幹線を使わせていただきました。三島にはこだましか止まらないので、こだまで行ったのですが、ほぼ各駅で別の電車に抜かされながらも新幹線は速いですね。座席も広くて快適ですし。
三島は自分の想像する地方都市そのままの雰囲気でした。駅前を少しはずれると寂れたアーケードのある商店街があり、繁華街をでると稲刈りも終わった田んぼ、細い川、直交しない細い道路、狭い歩道、さび付いた看板、路上で井戸端会議をするおばあちゃんたち。悪口書いてるみたいですけど僕はこういう雰囲気が好きで、バスに揺られながら癒されました。さて、遺伝研坂下というバス停で降りると桜並木の坂があり、10分ほどそこを上ると(遺伝研の前に止まるバスもあるのですが、日に6本(!)しかありません。)遺伝研です。この研究会を進めてくれた先生が言うとおりこれだけ何もない場所なら研究に打ち込めます(笑)
講演は12時から19時まで休憩は挟むけれどぶっ続けで行われました。異常行動を示すマウスを作成し、その原因遺伝子とその機能解析が多くの人のテーマでした。マウスの脳の部位を知らないため???な発表も多かったです。しかし、マウスの異常行動がいかに遺伝子の影響を強く受けているのか、また、人の精神病もそろそろ遺伝的な基盤がわかってくるのではないかという期待を持たせてくれる発表が多く見られました。全員分つらつら書くとまた長くなりすぎるので概要をまとめますと、
石浦章一先生、ドーパミントランスポーター量を規定する新規遺伝子と行動異常
実験が練り込まれていてわかりやすく、反対意見もつぶしてあり、納得させられます。人でこの遺伝子の異常が見つからなかったのは残念ですね。
宮川剛先生、遺伝子改変マウスの表現型解析を機転とした精神疾患の研究
非常におもしろいマウスの異常行動の例のお話でした。やはり、行動を研究する上では行動テストで異常な個体を振り分けなければならないのですね。ミツバチでの行動テスト考えなきゃ。
安藤寿康先生、パーソナリティの遺伝因子構造:国際比較研究から
ちょっと眉唾な感じがありましたが、遺伝子が性格に与える影響は大きいようですね。
久保田健夫先生、種村健太郎先生、今村拓也先生
一緒にしてしまうのは非常に乱暴ですが、マウスのエピジェネティクス(遺伝子が発現するかどうかの調節の研究)に関する研究をされていました。種村先生のマウスは女の子と一緒にいると頭が良くなるという結果には笑わせていただきました。今村先生の研究はスマートでした。
山元大輔先生
ショウジョウバエの研究です。fruitlessのような上流にある転写因子は影響でかいですねぇ。前半はとてもおもしろかったが、正直神経系に話が入ってからわかりにくかった。昆虫の脳も勉強しなきゃ。
松尾隆嗣先生
遺伝子一つで普通のハエが嫌うノニのにおいを好むようになるとは…進化はやはりおもしろい。
専門の虫とちょっと離れたマウスの話が多かったのですが、行動学はおもしろいなぁと改めて感じる、とても有意義な研究会でした。

12/25

漫画
ラブやん2
いやぁこれ読んでるとまだ俺って大丈夫かな?と変な勇気が出てきます。すべてのオタクに捧ぐべき本。

機動戦士ガンダム0079 vol.1 vol.2
ガンダム復習用に。初代はだいぶ忘れてましたねぇ。

単行本
脳とクオリア なぜ脳に心が生まれるのか 茂木健一郎
物理屋さんが脳について語ってます。前半が堅くて後半に行くほど柔らかくなるという特殊な構成。やはり生物屋とは発送が違いますね。生物屋が膨大なデータをとりそこから個別に膨大な理論を作りそれを統合していくという形で基本理論を作るのに対し、物理屋は現象を説明するために最低限必要な理論を作り、それから説明できる現象を広げていくという形で展開をします。でも、やっぱり堅すぎてどーも理解しにくい。何度か読まなきゃ生物屋さんはわからないと思う。はっとさせられる理論なんだけどねぇ。

単行本
脳と意識の地形図 ビジュアル版 脳と心の地形図2 リタ・カーター 藤井留美訳
最近のブームが脳と意識とクオリアなので正月は関連の本を読みふけっていました。中でもこれは読みやすかった。上記の「脳とクオリア」は斬新な思考がおもしろかったですが、こちらは意識の問題について俯瞰するような構成でした。生物は最近かなりの部分がわかってきたような気がしますが、生きているってなに?とか意識って何?とかいうとんでもなくでかい問題が全く手つかずです。

単行本
MacOS X プログラミング入門 Cocoa+Java 赤松正行著
Xcodeがうまく働かないでまだ試していない。ただ、Project Builderを使うと簡単にGUIアプリができるのはちょっと読んだだけでわかる。
Xcode2を入れると無事に動いた。(環境 iBook 1GHz, OSX 10.4.3)初めてGUIのプログラムが思い通りに動いたときは感動します。Xcodeはものすごく親切、簡単。やっぱマックってすげー!初心者にもならないぐらいのプログラミング初心者だけれど、この本は最低限のオブジェクト指向と文法がわかっていないとつらい。ただ、これまた初心者の戯れ言にすぎないと思うけれど、プログラミングはある程度”そういうもん”だと割り切ってがしがし先に進んでみるのがいいかもしれない。最初から専門用語の洪水だけれどすべてを理解しながら進むのはパニクるだけでとりあえずいろいろなコードを打ち込んでみて例外が出てきて初めて理解できるものだと思う。Project BuilderとXcode2の微妙な差にとまどっています。入力ファイルをrtfだけにするのはXcodeではどうすりゃいいんじゃ?

性科学 定塚甫著
臨床医師向けの本でした。もっとお馬鹿な内容を期待していたのになんか堅い文章と無神経な臨床医批判。新しい学問としての性科学を始めようとしているのはわかったけど臨床と関係ない人にはおもしろくなかった。あと作者がなんか頭堅め。

マルハナバチの世界 その生物学的基礎と応用 小野正人・和田哲夫 著
マルハナバチかわいー。おれはコマルとクロマルとセイヨウが好きです。
マルハナバチの基本的な生活は理解できた。社会性昆虫ってどうして似てきてしまうんでしょうね?かなりの部分送粉者としてのマルハナについて書かれています。生態について知りたかったからちょっと内容薄かったかな。薄い本だからしょうがないか。
あんまり虫にかわいさは求めないタイプ(つーかそんな人いるんかいね?)だけどマルハナは見ててかわいいと思うからもっと写真を増やしてほしかった。

Sunday, December 18, 2005

12/18

書籍 
logic pro 7 for Mac OS X 徹底操作ガイド 遠山博著
わかりにくい。もうlogicになれている人向け。DTMになれている人でないとわからない専門用語だらけ。俺が使っているのはlogic expressです。これさえの使い方がわからず結局ガレージバンドに戻っていく…ステップ入力したいな…

書籍 
図解雑学 CPUの働きと高速化のしくみ 山田宏尚著
まだ途中読み、これからCPUの仕組みに入っていく。図解雑学シリーズはわかりやすいなぁ。

HP
プログラムを書こう!C++入門
プログラミングは何度か手を出しましたが、コンパイラがインストールできなかったり、飽きたりしてなかなか進まなかったけど、これなら飽きっぽい俺でも何とか。ざっと概要だけつかんで進んでいくという形式が俺に合っています。これもまだ途中。

原著論文
SuppressionofPolycombgroupproteinsbyJNK signallinginducestransdeterminationinDrosophila imaginal discs
今まで読んだ論文の中で最高のわかりにくさ。つーか何回読んでもわからなかった。俺が今扱っているvestigialという翅を作るマスターコントロール遺伝子をさらに上流でコントロールする遺伝子を発見したぞという論文なのですが、それぞれの実験が深いところではつながっているくせに一見バラバラ。遺伝子名論文内で不統一。説明超省略。初心者お断りの論文でした。